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「&」3巻刊行記念! おかざき真里スペシャルインタビュー!
おかざき真里先生の大好評連載「&」の3巻が発売!
書店用POP
【あらすじ】
医療事務として働くかたわら、ネイルサロンをはじめた薫。
同じ病院に勤める医師・矢飼との距離が縮まらぬなか、
彼女に一途に恋心を抱く後輩・シロちゃんにデートに誘われ応じることに。
薫と向き合えない矢飼と、懸命でひたむきなシロちゃん。
そんな2人に薫はーー?
もどかしい…!早く続きを!という声が止まない
大人気連載の「&」!いよいよ動き出した薫、矢飼、シロちゃんの関係。
大人の恋は一体どのように進展していくのでしょう?
「&」3巻発売を記念しておかざき真里先生にいろいろ聞いちゃいます!
編集部(以下:編):3巻発売おめでとうございます。
3巻をズバリ一言で表現するとどんな巻でしょうか?
おかざき先生(以下:お):「もどかしい」
ほぼ同日発売だった集英社の「友だち以上」 は、
20代前半の男女がほんのひと押しで一線を越えていくのに対して、
大人はほんとうに「もどかしい」。
編:一筋縄ではいかないところが大人の恋の醍醐味でもありますよね。
さて、3巻のなかでお気に入りのシーンがあれば教えて下さい。
お:シロちゃんとデート中雨が降ってきて、野菜直売所で雨宿りをしているロング。
これいつもより細いペンで繊細に描いて、雨はカッターで切っているんです。
アシスタントさんが見た瞬間「ひゃっ」と言ってくれたので、
嬉しくてお気に入りに入れました。
&3巻、Number.13より
矢飼が熱で倒れた薫を自宅で診察する一連。
これちゃんとお医者様に、熱で倒れた人の診断手順を聞いて描いています。
さらにお医者さんが自宅で所持している、とある目的の薬名は何が適当か、とか。
そしてエロス表現でこの方にほめられたい!と目標にしているライターさんが
きちんとブログでほめてくださったので、お気に入りに入れました。
&3巻、Number.15より
他人にほめられたものばかりですねそういうものです。
自分ではまったく自信が持てないのです。
編:それはかなり意外でした…。もっと自信をもってください!笑
引き続き、3巻収録分のなかで気に入っている
セリフ・モノローグなどあれば教えて下さい。
お:これは3つあります。
「ああこうやって耳を塞いで目を閉じて やり過ごしていく
26歳っていう人生のうち一体どれ位を“なかったこと”にしていくのか」
&3巻、Number.14より
これは私が働いていたときの実感でもあります。
そうしなきゃいけない局面も多すぎて。
「世の中では 定年がのびる法案がでているらしい ぞっとする」
「社会のシステムとか見せられるたびそこからこぼれている自分がいて
世の中の「正しさ」は いつも自分を追いつめる」
&3巻、Number.15より
これはもう日々自分で感じていることなので!
「先生で 失敗させてください!」
&3巻、Number.16より
ここをひとつの目標に描いてきたので、
ああようやくこの台詞が描けた!とホッとしました。
編:おかざき先生のマンガは特に働く女子にとって
ぐさぐさと突き刺さるセリフの宝庫だと思います。
そして最後のセリフ、編集部でもやっと2人の関係が進むのか!と待ちに待ったシーンでした!
さてさて毎回恒例(?)ですが、3巻収録分のなかでお気に入りの扉イラストを教えて下さい。
お:これは2枚あります。
1枚目は、Number.12の拘束着着たシロちゃんです。
フィール・ヤング2011年5月号掲載
これは背景の花もすべて印刷にきれいに反映されました。
当時他の漫画家さんにもとてもほめていただきました。
(ほめられると嬉しいんです)
もう1枚はNumber.15の矢飼先生です。
フィール・ヤング2011年8月号掲載
矢飼先生ってさ、実は育ちがいいと思うんですよね。という感じで
お茶室にいる正装の矢飼先生描いてみました。
ピックアップした担当さんが、「いいですねえ~!」ってほめてくださったので。
(ほめられると以下略)
編:なるほど。Number.15の扉イラストは、いつも白衣の矢飼先生が
着物を着ているのも印象的でしたね~。
さて、Number.14の扉では、カラーイラストの上にアクリル板という
独創的な1枚を描かれていましたが、あれを思いついたきっかけとは?
また、どんな意味が込められているのでしょうか?
お:デザイナーさんが、&のデザインで色を透かして重ねているのは
マニキュアのイメージから、とおっしゃっていたので
実際マニキュアで透明感出してみたくてトライいたしました。
下にある薫の線画は何度も描き直ししています。
最初はもっと線が沢山あってモチーフもごちゃごちゃしていました、
それだとマニキュアが沈んでしまう気がしてシンプルな絵に落ち着きました。
編:では、3巻のカバーイラスト、今回は鳥(の羽)と木の実がモチーフのようですが、
この2つに決められた理由をお聞かせ下さい。
お:デザイナーさんから、「もう少し動きをつけてもいいですよ」と言われたので。
薫のポーズは1巻描いたときから決めていました。
描いたとき、秋だったので「実」が自分の中でシズっていたのだと思います。
毎回素晴らしいデザインしてくださるデザイナーさんには本当に感謝しております。
編:カバーイラストは巻を追う毎に躍動感が増していますよね!
お話は変わりますが、Number.13での薫とシロちゃんのデートについてお聞きします。
バイクデートは作品でも描かれているとおり会話がしにくいものですが、
あえてバイクデートにしたのはなぜですか?
お:えへへ。ないしょです。
編:おかざき先生はバイクデートはOKですか?
お:OKです。
そういえば私の旦那はバイク乗りなのですが一度も後ろに乗ったことがありません。
編:それはぜひ一度乗せてもらってください(笑)。
3巻では看病するシーン等含め、濃密に描かれるキスシーンなど
色気あふれるシーンがとても素敵ですが、描かれる際に気をつけることなどありますか?
お:これは実はものすごく気を使っています。
なぜかそういうシーンで巻頭をいただくタイミングが多く、
単行本を購入してくださる方ならキャラクターも好きでいてくださるんでしょうけれど、
雑誌のみを読まれる方に対しては、好きでもないキャラクターの「そういう」シーンは
害にしかならないわけで。雑誌に連載しているという宿命から、
できるだけ直接的な表現は抑えています。かなり抑えています。
編:なるほど。巻頭ではより多くの読者さんの目に触れますもんね。
さて、3巻ではこれからストーリーに大きく関わってきそうなシロちゃんの
学校の後輩【緑川育】が登場しましたが、彼女はどんなキャラクターなのでしょうか?
お:薫がちょっと妖精ぽいというかフワフワしたキャラクターなので
彼女はしっかり大地に根を張った女の子にしたいなと思います。
そういう女の子大好きです。
編:そうなんですね!その他にも3巻はシロちゃんと働く3人組全員の名前が
初めて出てきた巻でもありました。
茶沢、雲、モモの3人のフルネームは決まっていたりしますか?
また、あの4人(シロちゃん含む)はどんな関係なのでしょうか?
お:いちおう決まっています。いつか出てくるかもこないかも。
シロちゃんのひとつ下の後輩たちという設定で描いています。
編:フルネームが出てくる日を楽しみにしています。
続いておかざき先生ご自身への質問をいくつかさせていただければ。
最近ツイッター上でいろんな漫画家さんと交流されていらっしゃいますが、
驚いた事や嬉しかった事はありますか?
お:それはもうたくさん!
尊敬して憧憬の念を抱いていた漫画家さんからほめていただいたり、
描き方を見せていただいてとても刺激になったり、きりがないです。
特に私世代周辺、女子漫画家さんは、みなさん「生き残っている理由がある」方たち
ばかりなのでお互いに尊敬しあって刺激しあって、いい関係です。
私は地上からキラキラしたものを眺めさせていただいているばかりですが。
そして実際お会いすると、その漫画家さんのかかれるキャラクターに似ているんですよ!
主人公の声優さんですか?というくらい。作品も素晴らしければご本人も素晴らしいです。
編:それは素晴らしいですね! そんな素敵な漫画家さんたちのなかで、
自分ではない漫画家さんになって1日過ごすとしたら何をしますか?
また入れ替わってみたい漫画家さんはいらっしゃいますか?
お:どの漫画家さんにもなってみたいです!
一日、漫画を描いて過ごします。絶対勉強になると思うので。
編:漫画製作の過程でプロット、ネーム、下描き、作画、仕上げ、
自分以外の漫画家さんの作業でどれかひとつ見られるとしたらどれが良いですか?
お:ネームです。私はいちばん苦手なので。
でも以前、羽海野チカ先生の原画展に行ったときネームが展示してあったのですが、
畏れ多くて怖くて 最後まで近寄れませんでした。
30分も周りをうろうろしていたのですが。
(そこをたまたまいらしていた末次由紀先生に捕捉されました 笑)
実際ネームを描かれている場に遭遇しますと、「自分死ね!」ってなって
漫画家生命オシマイかもしれません(笑)。
編:なるほど。それは危険ですね(笑)。
そういえば、現在すこしずつデジタル作画をはじめられたそうですが、
はじめてみていかがですか?アナログとの違い、ご自身との相性など、お聞かせ下さい。
お:一部カットのお仕事の仕上げ部分をデジタルでやっています。
(まだ漫画の本文はアナログのままです)相性はとてもいい気がしています。
思った画面が作れる。
でも、私は自分をいちばん信じていないので、その「思った画面が作れる」感じが
いいのかどうかそこから疑っておっかなびっくり使っている感じです。
イレギュラーがないのは、つまらないですね。
編:思ったより良いものができたり、逆にうまくいかなかったりというのは
作業する上で楽しみでもありますよね。
突然ですがそんなおかざき先生が今いちばんやりたいことは何ですか?
お:まーじゃーん♪
(訳:麻雀)
編:よろしければ今度ご一緒しましょう!
麻雀以外の(笑)、2012年の抱負などあればお聞かせ下さい。
お:自分にもう少し自信を持とう。ポン(自分の肩に手を置く)。
編:それでは最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
お:連載漫画というのは、
読者さんと「よい共犯関係」を結べたら勝ちだと思っております。
どうぞどうぞ「&」という作品を育ててやってください。
よろしくお願いいたします。がんばります。
編:ありがとうございました!
「&」3巻は大好評発売中です!! 3巻はおかざき先生の「友だち以上」(集英社)と
同時期発売ということで、さる1月11日、おかざき先生と都内の書店さんに
ごあいさつに行ってきました! 今回は、お邪魔させてもらった書店さんの様子を
少しだけご紹介します♡
・ブックファースト新宿ルミネ1店さん
・ブックファースト新宿店さん
・リブロ渋谷店さん
・有隣堂 アトレ恵比寿店さん
・SHIBUYA TSUTAYAさん
SHIBUYA TSUTAYAさんでサインを描くおかざき先生の手元を激写!
各書店さんにはサイン本をおかせていただくとともに、
「&」3巻と「友だち以上」を素敵に展開していただき、おかざき先生とともに
ひとしきり感動を味わいました~!
お邪魔させていただいた書店さんには、おかざき先生直筆の華麗な色紙が飾られております。
今回だけの「&」と「友だち以上」の今回だけのコラボ色紙です!
ぜひ店頭でご覧になってくださいね。
ご協力いただいた書店の皆さま、ありがとうございました。
今後とも「&」ならびにフィールコミックスをよろしくお願いいたします!
※尚、サイン本はすでに完売しております。ご了承ください。
(取材:2012年1月某日)